「1年経てば元通り」— そう思っていた頃の私に、そっと渡したかった日記です。
術後、ゼリー1口で胸がいっぱいになり、家族のご飯の匂いに逃げ出した日もあれば、3食ぺろりと完食して「もう大丈夫かも」と浮かれた翌日にスープさえ残した日もある。
食べる量・体調・気持ちが “行ったり来たり” する 365 日をリアルタイムで書き留めたメニューと心のメモをまとめました。
完璧とはほど遠い軌跡ですが、だからこそ――
「回復は行きつ戻りつでいい」と肩の力を抜ける一助になれば幸いです。
この記事は“治療者”ではなく“経験者”としての備忘録です。
同じ道を歩むあなたが「私だけじゃない」と感じられたら嬉しいです。
この記事でわかること
- 術後1年間のリアル推移
- 時期別に効いた食べ方&マインドハック
- 「完璧じゃなくていい」回復ルートの作り方
目次
はじめに:「あの手術から、1年が経ちました」

術後 365 日。“回復”と呼ぶにはまだ揺らぎがあるけれど、振り返れば「食べること」こそリハビリの中心でした。ここでは時系列で体調・メニュー・気持ちの変化をまとめます。
手術直後〜退院後 1 か月:「食べられない、でも食べなければ」
食欲も気力も湧かない日々
- 空腹なのに一口で胸がいっぱい → 早期飽満感
- 食卓に座る→スプーンが持てない——そんなループ
- 頼りはゼリー飲料・ONS・おかゆ・具なしスープ

「これ 1 本で今日を乗り切る」——自分に言い聞かせていました。
実際の 1 日メニュー(一例)
タイミング | 内容 |
---|---|
朝 | メイバランス Mini 1 本 + バナナ 1/2 本 |
昼 | 白がゆ + にんじん&豆腐のすり流し |
間食 | ゼリー飲料 + ヨーグルト少量 |
夜 | 軟飯 + 茶碗蒸し + 具なし味噌汁 |
この時期の心境
- “食べることが怖い”
- 一口で息切れ → 食事前に深呼吸するクセがつく
- 家族の食事の匂いすらツラい
術後 2〜6 か月:「食欲と体力の波」と付き合う
波が激しい日々
- 昨日はおかず完食 → 今日はスープ 3 口でギブアップ
- 「良くなったと思ったのに…」 と一喜一憂
学び:波があるのは“回復プロセス”そのもの。
味覚が戻り始めたサイン
- 香り・温度・食感が“おいしさスイッチ”
- 食べたメニュー:卵と豆腐のスープ/白身魚の梅煮/具控えめレンジ茶碗蒸し
心の揺れと小さな成功体験
- 「午前中ずっと起きていられた」が自信に
- 不調再発への不安も共存 —— “それでも前より進んでいる” と言い聞かせる
術後 7〜12 か月:「自分の食事ペース」が見えてきた
食べられる日が自信に変わる
- 3 食+間食 が整う日が増加
- ONS は “必要時” だけに
- 外出後の食後違和感が減り、行動範囲が広がる
日常食ルーティン(後半期)
時間帯 | 目安メニュー | ポイント |
---|---|---|
朝 | ヨーグルト + 卵 + パン or おかゆ | 軽めでウォームアップ |
昼 | 主食 + 主菜 + 副菜 | 一日のメイン食、たんぱく質意識 |
夜 | 雑炊 or スープ + 少量主菜 | 体調で柔軟に調整 |
間食 | プリン・ゼリー・アイス | 栄養補助 & 気分転換 |
工夫:作り置き・冷凍ストック/アプリで体調×食事を記録/“頑張らない”をモットーに。
1 年を通して変わったこと・気づいたこと
「完璧じゃなくていい」が回復の鍵
- 義務の食事 は心を削る
- “今日はこれだけで OK” と自分を許すと、意外と食べられる
食べることはリハビリであり自己肯定のプロセス
- 一口でも口にする
- 続けられる
- 楽しめる
この3 段階を焦らず辿ることが回復への近道でした。
同じ道を歩むあなたへ
- 不安定で当然、焦らなくていい
- 食べられない日は “体を休める日”
- ONS やレトルトに頼ってもいい
- あなたのペースが最優先
“食べることに悩む”——それ自体が 「生きようとする証」 です。
まとめ
この 1 年、私を支えたのは “食べることを諦めない” というシンプルな決意。量でも質でもなく、「今日の自分に何か届ける」 その連続が回復を積み上げました。
あなたも、あなた自身のリズムで。1 年後きっと “ここまで来られた” と振り返る日が来ます。